ガルバリウム鋼板の特徴

ガルバリウム鋼板
─実務者のための基礎整理─
ガルバリウム鋼板
─実務者のための基礎整理─
ガルバリウムの基本とは
ガルバリウムの基本とは
ガルバリウム鋼板(GL)は、鉄(鋼板)をAl-Zn合金めっきで保護した材料です。
組成は概ね「アルミ55%、亜鉛43%、シリコン2%」。
この比率により、
- アルミの“バリア効果”(表面被覆による腐食抑制)
- 亜鉛の“犠牲防食作用”(端部や傷で鋼板を守る)
の両方をバランスよく発揮できるのが特長です。
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GLは汎用性が高く、幅広い現場で使用可能です。
- 住宅屋根・外壁
- 工場・倉庫の大型屋根
- 商業施設の外装
- 住宅地・内陸部での一般案件
ただし、沿岸部・工業地帯・融雪剤環境といった「腐食が厳しい現場」ではGL単体では不十分な場合があり、SGLやZn-Al-Mg系鋼板への切り替えを検討すべきです。

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「GLは錆びない」という誤解がありますが、腐食は進行します。
- 端部・切断部・穴あき部では犠牲防食が効いても限界あり
- 表面塗装が劣化すれば再塗装が必要
- 雨仕舞や清掃性、異種金属接触で寿命が変動
実務的には、再塗装サイクル15〜20年、穴あき寿命25〜30年(環境依存)が一般的なレンジです。
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錆初期材料費は安定しており、「軽量・加工しやすい・流通性が高い」ため、コストパフォーマンスの良い素材です。
ただし沿岸や積雪地帯では、メンテ頻度や補修コストを加味したTCOで不利になるケースもあるため、案件ごとに適材適所を判断してください。

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サンダー切断NG、切粉は必ず除去
- 水溜まりを生む逆勾配は排除
- 異種金属接触(銅・鉛・未めっき鋼)は絶縁材を介在
- 保管時の濡れ置きは厳禁(ウェットスタック腐食)
GLもSGLも、“切粉と雨仕舞”で寿命が決まると言ってよいほど、施工品質が耐久性に直結します。
ガルバリウム鋼板は「コスト・流通性・施工性に優れた標準材料」です。
ただし、環境や納まりによっては端部腐食や保全コストが効いてくるため、沿岸・工業地帯ではSGLやZn-Al-Mg系を検討するのが実務的な判断となります。
GL=標準、SGL=強化版という整理で、案件ごとの適材適所を押さえることが重要です。